当科の紹介
当院の心臓血管外科は、滋賀医科大学心臓血管外科と提携し、確実で安全な手術を行うことで質の高い医療の提供に努めています。心臓血管外科はチーム医療ですので、麻酔科を含めた他診療科医師やメディカルスタッフとの連携を重視しています。下肢静脈瘤などのよく見かける疾患から、狭心症や弁膜症といった急変し得る疾患、急性大動脈解離や大動脈瘤破裂に代表される致命的な疾患まで、幅広く対応させて頂きたいと考えています。
■心臓血管外科は怖い?
心臓血管外科の手術というと、胸を大きく開けなければならない、心臓を止めて手術をしなければならない、脳梗塞などの重い合併症が起こるかもしれないといったイメージが先行してしまい、手術を受けることを怖がってしまう患者さんがおります。また、内科医師の中には手術成績に疑問を抱いている方もおられるではないかと思います。ただ、外科手術も内科治療と同様に日進月歩の進化を遂げております。私の所属先である滋賀医科大学心臓血管外科では、手術翌日から食事・歩行・リハビリテーションを開始し、手術後2週間で自宅に退院するというのが標準となっています。手術は決して万能な治療法ではありませんが、手術でしか治療できない病気を持った患者さんもたくさんおられますので、その治療を担っていきたいと思っています。
■心臓血管外科で治療できる代表的な病気
①大血管の病気(大動脈疾患)…急性大動脈解離、腹部大動脈瘤など
大動脈解離が起こると、裂けて薄くなった大動脈が破裂したり、臓器の血流不足が引き起こされたりして、命に関わります。大動脈瘤は、大動脈がこぶのように大きく膨らんだ状態です。症状はほぼありませんが、破裂してしまうと、救命が難しくなります。大動脈を人工血管で交換し、元に近い状態に戻すことができます。負担が少ないステントグラフト(=金属の骨格付きの人工血管)を用いた血管内治療を選択する場合もあります。
②心臓の弁の病気(心臓弁膜症)…大動脈弁狭窄症や僧帽弁閉鎖不全症など
心臓の中には、4つの部屋(右心房・右心室・左心房・左心室)があり、その間には4つの弁(三尖弁・肺動脈弁・僧帽弁・大動脈弁)があります。その弁が硬く狭くなったり(狭窄)、上手く閉じなくなったり(閉鎖不全)することを弁膜症と言います。
弁置換(=弁の交換)や弁形成(=弁の修理)を行って治すことができます。
③冠動脈の病気(虚血性心疾患)…狭心症や心筋梗塞など
心臓の表面には冠動脈があり、土台となる筋肉まで血流が送られています。その冠動脈が狭くなり、筋肉の血流不足(=虚血)が起こっている状態です。冠動脈バイパス術で血流を良くすることができます。
④静脈の病気…下肢静脈瘤など
足の表面の静脈を流れる血液が逆流することで、静脈が膨れて、見た目の悪さやだるさ、浮腫みを引き起こす病気です。破裂して命に関わることはありませんが、症状にお悩みの方が実は多いとされています。カテーテルを使った治療で治すことができます。手術が終わったらすぐ歩けますし、入院期間は1泊2日です。
■下肢静脈瘤はどんな病気?治療するべき?
下肢の静脈の中にある逆流防止弁がだめになり、血液が逆流するため、血管がぼこぼこと浮き上がる病気が「下肢静脈瘤」です。生命にかかわる疾患ではありませんが、見た目の悪さや、浮腫み・だるさ・こむらかえりなどの症状を引き起こし、生活の質を低下させる疾患です。
下肢静脈瘤は、40歳以上の女性に多く認められ、年齢とともに増加していきます。日本人では15歳以上の男女の43%、30歳以上では62%もの人に静脈瘤が認められたとの報告もあり、患者数は1000万人以上と推定されます。身近な疾患ではあるのですが、正しい知識を持った専門医は少なく、不適切な弾性ストッキングの使用などで、手術すべき人が放置されている現状もあります。
本邦では以前より、ストリッピングといわれる血管を引き抜く手術が、下肢静脈瘤の根治術として施行されていました。一方で欧米では、1990年代からカテーテルによる血管内焼灼術が普及していました。2011年にようやく本邦でもレーザー治療が保険適応となり、血管内焼灼術が治療の主流となるようになってきました。2014年4月には次世代レーザー治療が、同6月に高周波(ラジオ波)治療が保険適応となり、2014年には3~4万人の方が血管内焼灼術を受けられるようになるほど、急速に普及してきています。
当院でも高周波による下肢静脈瘤血管内焼灼術の施行を行います。創部はカテーテルや麻酔の針の刺し傷だけでほとんど目立ちませんし、手術時間も30分から1時間と短いです。疼痛や皮下出血といった手術の影響も少なく、手術が終了した後から歩行も開始でき、翌日には手術前となんら変わらない生活が送ることができます。下肢静脈瘤でお困りの方がおられましたら、当科にご相談いただければと思います。
■大動脈瘤は命を奪う?
大動脈瘤とは、心臓から全身に血液を送る大動脈の壁が瘤=こぶのように膨らむ病気です。できる場所によって胸部大動脈瘤、腹部大動脈瘤、腸骨動脈瘤と名前を変えますが、共通することは、「破裂するまで症状が無いことが多い」「破裂すると命に関わる」「破裂する前であれば安全に手術で治すことができる」ことです。
「破裂するまで症状が無いことが多い」ということですが、まれに声枯れやお腹の拍動感をきっかけに見つかることがありますが、多くの場合が定期健診などで偶然見つかります。
「破裂すると命に関わる」ことに関しては、一旦破裂すると命を救うことが難しく、破裂患者の死亡率は90%近くになると言われています。
「破裂する前であれば安全に手術で治すことができる」のが大事な点です。大動脈瘤は直径が5~6cm以上になると破裂の危険性が高くなるため、治療が勧められます。治療方法は大きく分けて二つあります。一つは、胸もしくはお腹を開けて大動脈瘤を直接切開して除去し、人工血管で置き換える人工血管置換術です。二つ目は、カテーテルを血管の中に入れてステントグラフトと呼ばれる金網付きの人工血管を大動脈瘤内に装着するステントグラフト内挿術です。どちらも当院で行うことができ、手術時間は約3時間で、術後の入院期間は1~2週間となっています。死亡率は数%であり、破裂した場合と雲泥の差です。
皆さんに大動脈瘤を正しく知ってもらい、健康な日々を過ごして欲しいと思っています。
■最後に
当院の心臓血管外科は、日本でもトップクラスの手術症例数を誇る滋賀医科大学心臓血管外科医局と協力関係を結び、全面バックアップのもと診療を行います。滋賀医科大学と変わらない質の手術を提供すると共に、滋賀医科大学と同様、「No refusal policy」を掲げ、対応致します。
高齢化が進行した現代社会では、全身疾患が合併した患者さんが多く、心疾患の病態が複雑かつ多様化しています。内科治療が限界になった状態で、手術に回ってくる患者さんもたくさんおられます。心臓血管外科はそういった患者さんにとって頼るべき最後の存在であり、我々の後にはもう何もない気概で真剣に診療に取り組み、その結果、皆様の役に立てれば嬉しく思います。
少しでも「心臓血管外科に関係あるかな」と思いましたら、遠慮なく当科までいらして下さい。いつでもご相談頂ければありがたいです。
■受診の流れ
火曜日と木曜日の午前が主な外来診療日となっています。
近隣の医療機関と連携を取り、地域医療に貢献できるよう努力していきたいと考えています。ご用命の際はいつでもお気軽にご連絡下さい。
野崎徳洲会病院循環器ホットライン:072-874-1727
榎本直通電話070-3158-7706
榎本e-mail addressm_motoeno@yahoo.co.jp
手術・治療について
■大動脈瘤手術
1. 安全確実な手術をめざします。
2. ステントグラフト手術
手術不可能例、重症例の胸部、腹部大動脈瘤に対し、積極的に行っています。 胸部、腹部に創部を作らず、リスクが低い術式です
術後の対応 1. 術後の患者様に関する問い合わせ 術後の患者様で創部の問題、再発、等手術に関する問題がありましたらいつでも見させていただきます。 2. 術後の定期観察 術後、半年後、1年後そしてその後1年毎にかかりつけの先生方との協力のもと手術に関連した術後 遠隔期の再発、合併症に対し術後外来で対応させていただきます。 |
■冠動脈バイパス手術
心臓の動脈(冠動脈)の動脈硬化により、狭心症や心筋梗塞に陥った血管をバイパスする手術です。
当院では、人工心肺を使用せずに冠動脈バイパス手術を行います(95%は人工心肺非使用)。その術式は従来の人工心肺を装着する冠動脈バイパス手術に比べリスクの少ない術式です。
■心臓弁膜症手術(大動脈弁、僧房弁、三尖弁、弁膜症の手術です。)
心臓には4つの部屋(右心房、右心室、左心房、左心室)があり、血液は大静脈から右心房に入り、右心室、肺動脈、肺静脈、左心房、左心室の順に流れ、左心室から大動脈へと送り出されます。心臓弁は心臓内の血液の流れを制御する重要な役割を果たしています。右心房と右心室の間に三尖弁(さんせんべん)、右心室と肺動脈の間に肺動脈弁、左心房と左心室の間に僧帽弁(そうぼうべん)、左心室と大動脈との間に大動脈弁があります。弁の開放によって血液を流し、閉鎖によって逆流を防いでいます。弁に障害があると、弁の開閉が適切に行われなくなります。
【閉鎖不全症】
弁に閉鎖不全が生じると、いったん心臓から押し出された血液がまた元の心臓の部屋に逆流してしまいます。弁がこのような状態では必要な血流量を全身に送り出せなくなり、逆流した血液で心臓に大きな負担を与えます。症状としては体を動かした時に息切れがしたり、呼吸が苦しくなったりする等の症状が出現します。
【狭窄症】
弁に狭窄が生じると、心臓のポンプ効率が悪くなり十分な血液量を送りだせなくなってしまいます。加齢・動脈硬化による狭窄症やリウマチ性の狭窄症があります。いずれにおいても狭窄症では弁は石灰化して癒着をおこしてしまい、弁の動きを悪くしてしまいます。その結果血液の流れも制限されてしまう訳です。閉鎖不全症と同じような症状の他、『狭心痛』(きょうしんつう)という運動したときなどに現れる胸痛発作が起こります。
■治療法
弁形成
患者さんご自身の弁を温存する形で修繕する方法です。
弁形成はワーファリンが不要で、かつ長持ちしやすく再手術の可能性が極めて低い術式です。
(若年者に最も適しています)
(※ ワーファリンとは血液が固まらないようにするお薬です。出血などの合併症があります)
弁置換
壊れた弁を切除して、下記のような人工弁に置き換える手術です。
1. 生体弁(ウシ、ブタ)
ワーファリン不用だが、10〜15年で再手術の可能性が高くなります。
2. 機械弁(カーボン)
弁そのものは100年以上もつようにできています。ただし血栓予防のためにワーファリンが一生必要です。ワーファリンを正しく使えば再手術の可能性は低いです。
当科の紹介
当院の心臓血管外科は、滋賀医科大学心臓血管外科と提携し、確実で安全な手術を行うことで質の高い医療の提供に努めています。心臓血管外科はチーム医療ですので、麻酔科を含めた他診療科医師やメディカルスタッフとの連携を重視しています。下肢静脈瘤などのよく見かける疾患から、狭心症や弁膜症といった急変し得る疾患、急性大動脈解離や大動脈瘤破裂に代表される致命的な疾患まで、幅広く対応させて頂きたいと考えています。
■心臓血管外科は怖い?
心臓血管外科の手術というと、胸を大きく開けなければならない、心臓を止めて手術をしなければならない、脳梗塞などの重い合併症が起こるかもしれないといったイメージが先行してしまい、手術を受けることを怖がってしまう患者さんがおります。また、内科医師の中には手術成績に疑問を抱いている方もおられるではないかと思います。ただ、外科手術も内科治療と同様に日進月歩の進化を遂げております。私の所属先である滋賀医科大学心臓血管外科では、手術翌日から食事・歩行・リハビリテーションを開始し、手術後2週間で自宅に退院するというのが標準となっています。手術は決して万能な治療法ではありませんが、手術でしか治療できない病気を持った患者さんもたくさんおられますので、その治療を担っていきたいと思っています。
■心臓血管外科で治療できる代表的な病気
①大血管の病気(大動脈疾患)…急性大動脈解離、腹部大動脈瘤など
大動脈解離が起こると、裂けて薄くなった大動脈が破裂したり、臓器の血流不足が引き起こされたりして、命に関わります。大動脈瘤は、大動脈がこぶのように大きく膨らんだ状態です。症状はほぼありませんが、破裂してしまうと、救命が難しくなります。大動脈を人工血管で交換し、元に近い状態に戻すことができます。負担が少ないステントグラフト(=金属の骨格付きの人工血管)を用いた血管内治療を選択する場合もあります。
②心臓の弁の病気(心臓弁膜症)…大動脈弁狭窄症や僧帽弁閉鎖不全症など
心臓の中には、4つの部屋(右心房・右心室・左心房・左心室)があり、その間には4つの弁(三尖弁・肺動脈弁・僧帽弁・大動脈弁)があります。その弁が硬く狭くなったり(狭窄)、上手く閉じなくなったり(閉鎖不全)することを弁膜症と言います。
弁置換(=弁の交換)や弁形成(=弁の修理)を行って治すことができます。
③冠動脈の病気(虚血性心疾患)…狭心症や心筋梗塞など
心臓の表面には冠動脈があり、土台となる筋肉まで血流が送られています。その冠動脈が狭くなり、筋肉の血流不足(=虚血)が起こっている状態です。冠動脈バイパス術で血流を良くすることができます。
④静脈の病気…下肢静脈瘤など
足の表面の静脈を流れる血液が逆流することで、静脈が膨れて、見た目の悪さやだるさ、浮腫みを引き起こす病気です。破裂して命に関わることはありませんが、症状にお悩みの方が実は多いとされています。カテーテルを使った治療で治すことができます。手術が終わったらすぐ歩けますし、入院期間は1泊2日です。
■下肢静脈瘤はどんな病気?治療するべき?
下肢の静脈の中にある逆流防止弁がだめになり、血液が逆流するため、血管がぼこぼこと浮き上がる病気が「下肢静脈瘤」です。生命にかかわる疾患ではありませんが、見た目の悪さや、浮腫み・だるさ・こむらかえりなどの症状を引き起こし、生活の質を低下させる疾患です。
下肢静脈瘤は、40歳以上の女性に多く認められ、年齢とともに増加していきます。日本人では15歳以上の男女の43%、30歳以上では62%もの人に静脈瘤が認められたとの報告もあり、患者数は1000万人以上と推定されます。身近な疾患ではあるのですが、正しい知識を持った専門医は少なく、不適切な弾性ストッキングの使用などで、手術すべき人が放置されている現状もあります。
本邦では以前より、ストリッピングといわれる血管を引き抜く手術が、下肢静脈瘤の根治術として施行されていました。一方で欧米では、1990年代からカテーテルによる血管内焼灼術が普及していました。2011年にようやく本邦でもレーザー治療が保険適応となり、血管内焼灼術が治療の主流となるようになってきました。2014年4月には次世代レーザー治療が、同6月に高周波(ラジオ波)治療が保険適応となり、2014年には3~4万人の方が血管内焼灼術を受けられるようになるほど、急速に普及してきています。
当院でも高周波による下肢静脈瘤血管内焼灼術の施行を行います。創部はカテーテルや麻酔の針の刺し傷だけでほとんど目立ちませんし、手術時間も30分から1時間と短いです。疼痛や皮下出血といった手術の影響も少なく、手術が終了した後から歩行も開始でき、翌日には手術前となんら変わらない生活が送ることができます。下肢静脈瘤でお困りの方がおられましたら、当科にご相談いただければと思います。
■大動脈瘤は命を奪う?
大動脈瘤とは、心臓から全身に血液を送る大動脈の壁が瘤=こぶのように膨らむ病気です。できる場所によって胸部大動脈瘤、腹部大動脈瘤、腸骨動脈瘤と名前を変えますが、共通することは、「破裂するまで症状が無いことが多い」「破裂すると命に関わる」「破裂する前であれば安全に手術で治すことができる」ことです。
「破裂するまで症状が無いことが多い」ということですが、まれに声枯れやお腹の拍動感をきっかけに見つかることがありますが、多くの場合が定期健診などで偶然見つかります。
「破裂すると命に関わる」ことに関しては、一旦破裂すると命を救うことが難しく、破裂患者の死亡率は90%近くになると言われています。
「破裂する前であれば安全に手術で治すことができる」のが大事な点です。大動脈瘤は直径が5~6cm以上になると破裂の危険性が高くなるため、治療が勧められます。治療方法は大きく分けて二つあります。一つは、胸もしくはお腹を開けて大動脈瘤を直接切開して除去し、人工血管で置き換える人工血管置換術です。二つ目は、カテーテルを血管の中に入れてステントグラフトと呼ばれる金網付きの人工血管を大動脈瘤内に装着するステントグラフト内挿術です。どちらも当院で行うことができ、手術時間は約3時間で、術後の入院期間は1~2週間となっています。死亡率は数%であり、破裂した場合と雲泥の差です。
皆さんに大動脈瘤を正しく知ってもらい、健康な日々を過ごして欲しいと思っています。
■最後に
当院の心臓血管外科は、日本でもトップクラスの手術症例数を誇る滋賀医科大学心臓血管外科医局と協力関係を結び、全面バックアップのもと診療を行います。滋賀医科大学と変わらない質の手術を提供すると共に、滋賀医科大学と同様、「No refusal policy」を掲げ、対応致します。
高齢化が進行した現代社会では、全身疾患が合併した患者さんが多く、心疾患の病態が複雑かつ多様化しています。内科治療が限界になった状態で、手術に回ってくる患者さんもたくさんおられます。心臓血管外科はそういった患者さんにとって頼るべき最後の存在であり、我々の後にはもう何もない気概で真剣に診療に取り組み、その結果、皆様の役に立てれば嬉しく思います。
少しでも「心臓血管外科に関係あるかな」と思いましたら、遠慮なく当科までいらして下さい。いつでもご相談頂ければありがたいです。
■受診の流れ
火曜日と木曜日の午前が主な外来診療日となっています。
近隣の医療機関と連携を取り、地域医療に貢献できるよう努力していきたいと考えています。ご用命の際はいつでもお気軽にご連絡下さい。
野崎徳洲会病院循環器ホットライン:072-874-1727
榎本直通電話070-3158-7706
榎本e-mail addressm_motoeno@yahoo.co.jp
手術・治療について
■大動脈瘤手術
1. 安全確実な手術をめざします。
2. ステントグラフト手術
手術不可能例、重症例の胸部、腹部大動脈瘤に対し、積極的に行っています。 胸部、腹部に創部を作らず、リスクが低い術式です
術後の対応 1. 術後の患者様に関する問い合わせ 術後の患者様で創部の問題、再発、等手術に関する問題がありましたらいつでも見させていただきます。 2. 術後の定期観察 術後、半年後、1年後そしてその後1年毎にかかりつけの先生方との協力のもと手術に関連した術後 遠隔期の再発、合併症に対し術後外来で対応させていただきます。 |
■冠動脈バイパス手術
心臓の動脈(冠動脈)の動脈硬化により、狭心症や心筋梗塞に陥った血管をバイパスする手術です。
当院では、人工心肺を使用せずに冠動脈バイパス手術を行います(95%は人工心肺非使用)。その術式は従来の人工心肺を装着する冠動脈バイパス手術に比べリスクの少ない術式です。
■心臓弁膜症手術(大動脈弁、僧房弁、三尖弁、弁膜症の手術です。)
心臓には4つの部屋(右心房、右心室、左心房、左心室)があり、血液は大静脈から右心房に入り、右心室、肺動脈、肺静脈、左心房、左心室の順に流れ、左心室から大動脈へと送り出されます。心臓弁は心臓内の血液の流れを制御する重要な役割を果たしています。右心房と右心室の間に三尖弁(さんせんべん)、右心室と肺動脈の間に肺動脈弁、左心房と左心室の間に僧帽弁(そうぼうべん)、左心室と大動脈との間に大動脈弁があります。弁の開放によって血液を流し、閉鎖によって逆流を防いでいます。弁に障害があると、弁の開閉が適切に行われなくなります。
【閉鎖不全症】
弁に閉鎖不全が生じると、いったん心臓から押し出された血液がまた元の心臓の部屋に逆流してしまいます。弁がこのような状態では必要な血流量を全身に送り出せなくなり、逆流した血液で心臓に大きな負担を与えます。症状としては体を動かした時に息切れがしたり、呼吸が苦しくなったりする等の症状が出現します。
【狭窄症】
弁に狭窄が生じると、心臓のポンプ効率が悪くなり十分な血液量を送りだせなくなってしまいます。加齢・動脈硬化による狭窄症やリウマチ性の狭窄症があります。いずれにおいても狭窄症では弁は石灰化して癒着をおこしてしまい、弁の動きを悪くしてしまいます。その結果血液の流れも制限されてしまう訳です。閉鎖不全症と同じような症状の他、『狭心痛』(きょうしんつう)という運動したときなどに現れる胸痛発作が起こります。
■治療法
弁形成
患者さんご自身の弁を温存する形で修繕する方法です。
弁形成はワーファリンが不要で、かつ長持ちしやすく再手術の可能性が極めて低い術式です。
(若年者に最も適しています)
(※ ワーファリンとは血液が固まらないようにするお薬です。出血などの合併症があります)
弁置換
壊れた弁を切除して、下記のような人工弁に置き換える手術です。
1. 生体弁(ウシ、ブタ)
ワーファリン不用だが、10〜15年で再手術の可能性が高くなります。
2. 機械弁(カーボン)
弁そのものは100年以上もつようにできています。ただし血栓予防のためにワーファリンが一生必要です。ワーファリンを正しく使えば再手術の可能性は低いです。