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救急医の哀愁(エレジー)

救急医を選んだお陰で何十年にわたる苦難を経験、
普通の専門科を選んでいればナンの苦労も無かった、
今頃は大家になって誰にも文句言われることなくブイブイ言わせていた、
この道を選んだばっかりに、今でもチビから「ちゃんと見ましたか?」「本当ですか?」と言われる、
尿路結石1万人診ていても、家族から泌尿器の先生に見て欲しいと言われる、
実は、腎損傷のシンポジウムがあると症例下さいと泌尿器科の医師が言って来る(当院では有りません)、外科専門医受験の医師が熱傷症例借りに来る(当院では有りません)、ERは疾患経験の宝庫です、

独立型の救命センターでは所属スタッフのみの診療で自己完結する、
私は、その方式には反対です、
私は、そうあるべきだと思っているので、必ず診察後専門科の先生へ紹介します、プロの診療をお願いします、
我々は漁師、魚を傷つけることなく、逃がすことなく、間違いなく釣り上げて、シェフに渡して綺麗に料理して貰う、それが役目と思っています、

”disposition”という救急の重要な選択があります、
入院させるか帰宅させるか、コンサルトするならいつ、何科にか?
このdispositionを失敗すると救急医として最悪の事態が起こります、
帰宅させた患者がCPAで搬送されてくる”return and die”です、
歩いてERに来た患者が対応の遅れで死亡する”walk and die”です、
翌日のカルテ回診で昨日診た患者が夜中に搬送されていると背筋が凍ります、

当たり前だがコンサルト相手には色んな先生が居られます、
優しい先生、はいどうぞ、判りました、の先生、
待たせる先生、文句言う先生、断わる先生、

毎日が苦闘、
心臓血管外科に大動脈解離を紹介する(当院の経験では有りません)、
見逃しの無いように、落ち度が無いように、キッチリ調べる、
検査は依頼して直ぐに結果入手出来るわけではない、当然時間かかる、
言われる、
「この患者来てからもう2時間経っている」「来たら直ぐに連絡しなさい」、
「判りました」、
次に患者が来る、強い胸背部痛と単純CT所見だけで連絡する、
言われる、
「造影CTも撮ってないの」「腎機能は」「凝固能は」「服用薬は」
「なにもやってないんだね」、
スミマセン、次は頃合いの検査やってからコンサルトします・・

心肺戦争があります(当院の事では有りません)、
呼吸器内科と循環器科の戦争です、
肺の浸潤影と酸素化能低下の患者が来ます、
キッチリ検査して心不全と診断して循環器に紹介します、
言われます、
「これは、心不全では有りません、肺炎です、呼吸器内科にお願いします」、
呼吸器にコンサルトする、
「これは、肺炎では有りません、心不全です、循環器科にお願いします」
途方に暮れる幼子、
過去に出会った最高の呼吸器内科M医師、
「これは心不全ですが、循環器に断られたら私が持ってチャンと捌きます」
感動しました、

話は戻って、
しかし、専門科の先生へチャンとした対応を見せ、
なによりも間違いの無い診断精度を50例見せると、変わってきます、
最初は「ホンマカイナ」で「見にいきます」が、
「カテ準備始めます、有難うございました」になる、
時には「胸腔ドレン入れておいて下さい」、
そして「入院させておいて下さい、後は診ておきます」になると、
嬉しい、
信用、信頼、ラポーの獲得です(写真)、
でも、救急の対応疾患は全科全疾患が建前、
ラポー獲得が全科で必要なので大変です、

ツライのは、ラポーの取れた先生の転勤です、
次の先生にラポー得るために、またイチからスタート、
頑張ります!

専門的治療を要する患者を他施設に送らねばならない時もあります、
外傷から来る神経損傷患者がありました(以下当地の話では有りません)、
三次施設に電話を掛けます、慇懃に自己紹介、
「〇〇病院の千代と申します」
「30歳の男性で、外傷による神経損傷の患者を受けて頂きたいのですが」平身低頭でお願いします(写真)、
電話口のチビ医者、名乗ることもなくタメ口で、
質問攻め、受傷機転、骨折の有無から、画像所見、臓器障害、既往歴から家族歴、患者の星座まで聞く(冗談です)、
そして宣う「骨折の無い神経損傷は無い」、
そんなんナンボでもあるで、と反論したいが辛抱して、
そこを何とかお願いしますと、再度平身低頭する、

緑内障と思われる患者を紹介する、
明日眼科に行ってもらって下さいと言われる、
そんなん怖くて出来ません、
ツライ、

「20歳男のバイク事故、意識清明だが、外傷性SAH、肋骨骨折、脛骨骨折がありますので宜しく」と電話すると、
良く言われる決め台詞、
「それは三次適応ではないので二次に送ってください」、
三次で良いと思うがね(写真)、
私は、救命センター勤務40年やったが一度も断ったことない、

こういう苦労をしない救急外来もあります、
key station 方式のERです
医師や看護師がERに座っています、
頭が痛い患者が来る、脳外科の日替わり担当医師に電話する、
「54歳頭痛の患者が来てます、よろしくお願いします」
胸痛は循環器、腹痛は消化器、腰痛は整形外科、めまいは耳鼻科、
極限はCPA当番というのも有ります、
こんなのでgeneralな医師が育つわけはない、
この反省で新研修医制度が始まりました、

こんなのはERではありません、
私はイヤです、
さあ、今日も大好きな救急を始めましょう。

「患者を受けて欲しい、平身低頭、頼みます、”そこを何とかお願い致します”」


「ラポー(信頼)の形成過程:最初は疑いや警戒から始まり、実績を重ねて初めて信頼が得られる」


「外傷性SAH+肋骨骨折+四肢骨骨折≠三次??」

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