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【モノ書く医師】

医師は小説家でもないのにモノを書きます、
多くの医師は医療を行うだけではありません、
その傍ら学術活動を行います、
これには多くのものがあります、
学会発表、医師教育、講演・・・、
そして、もうひとつが今回の話題の執筆活動です、
この中には達成困難度によるランクがあります。

スタートは、難度の低い自身の研究発表論文です、
これも最初は、経験した珍しい症例の症例報告、
次が、時間をかけて行った研究の研究発表、
最たるものは博士号取得のための学位論文です、
高い評価が得られるのは英語論文、
特に海外の著名な雑誌への投稿と受理は誉ですが、なかなか受理されません、

次は「依頼原稿」です、編者から指名されて書く執筆者になります(写真)、
この依頼が来ることは名誉です、
10年以上多くの論文を書いたり、学会発表して編者の目に留まることが必要です、
私が39年前に多くの臨床医の机の上にある有名な「今日の治療指針」の依頼を
受けた時は飛び上がって喜びました、
この本の執筆者は1300名です、

エライさんになって来ると、総説、コラム、随筆の依頼が来ます、

次がゲストエディター(写真)、
定期刊行本の特集(例えば“新規感染症”)の編者を頼まれます、
いわゆるボスになれた証拠です、
依頼が来るまでは地道な20年間の学術活動が必要です、
後述の執筆者選びなど全て単行本と同じことをやります、
何回かやると、信頼されて持ち込み企画も可になります、

単行本の出版の依頼(写真):
次が今回もやったやつですが一番格上です、
相当のボスでないと依頼は有りません、
学術活動歴30年必要でしょうか、
そして、制作にはもの凄い手間がかかります。

実際の出版までの過程は、
ある日突然来る依頼文(写真):
これに「応諾」の返事をした瞬間から筆舌に尽くしがたい多大の苦労が始まります、
じゃあ、何故引き受けるのでしょうか?
因みに、私は、全てのオファーは必ず応需することにしています、
断ることは余りにも簡単で、断った後の日常生活への影響はゼロです、
人間は弱いもの、この利益と損失を秤にかけると断りたくなる、すると何も生まれない、歯を食いしばって応諾します、

良く言われるのは印税が凄いでしょう、です、
定価2万の「今日の治療」を例に挙げれば、印税は10%、
1冊で2000円、1万冊売れれば2000万円、
凄い金額ですが・・・、
これを執筆者1000人で分けると、2万円です、
また、本邦には医者は30万人、外科、内科などの専門分野が30あるとすると、
1分野1万人、因みに救急は1500人です、
これ以上は売れないわけです、
ゆえに印税は数万円以下です、
何年か経つと印税3円とかいうのもあります、
労力には全く見合わない、

さて、単行本出版です、
最初にやるのが、見本原稿の作成(写真)、
どれだけ丁寧に執筆要領をかいても、内容はバラバラ、整合性、統一性が無く、
レベルが低くなります、
これを避けるのは見本原稿です、これを1ケ月以内に完成させる必要があります、
必死で書きます、完成度も高くないとだめ、大変です、

執筆者選択(写真)、
この原稿を印刷して貰っているあいだに、最大課題の執筆者選びを行います、
著名な教授に依頼するのでは無く、最近の学会発表、論文をみて該当者を探します、
学会の発表抄録を10学会数年分読みます、
映画作成の時の俳優を選ぶのと同じです、
この選択ではひとつ問題があります、
必ず応諾してくれるわけではないのです、書いたって得られるものはプライドだけ、
依頼原稿が溜まっていたり、講演が忙しかったりで、
多忙な人も多いです、ゆえに断られた時の次の候補者も上げておきます、
出版社に聞いて原稿作成が遅いブラックリストの方を省きます、
このリスト作成は2ケ月は掛かります、

執筆依頼(写真)、
どんな本にしたいか、コンセプトを書いて、書いて欲しいことを挙げて、
ルールを書いて、前述の見本原稿を付けて、依頼文を発送します、
時には、現在の所属施設が不明の人もあります、
「否」が来たら次の人に送る、1ケ月で執筆者を決定します、

原稿待ち、
これも結構困難点、原稿を待ちます、即時リターンもあるが、遅い人は遅い、
締め切りまでに来るのは8割ぐらい、想定内です、
締め切り済んでも急かしたらダメ、雑な原稿が来る、
「何時でもいいですよ」と言うテクニックあり、

校正、
無事揃ったら、ゲラ刷りを作り、執筆者に校正を頼む、
編集者のレベルの高い雑誌社では、引用された論文読みます、
英語論文まで全て取りよせて読む、エエ加減に文献引用していると、
「見当たりません」と叱られる、
編集者からの疑問点、直してほしいところを付けて返送します、
この校正のリターンは、執筆者が必死になるので早い、

それらを全てチェック、
編者として、全てを見直します、気に入らないものあるが大幅には変えられない、
諦めます、

念校印刷製本出版、
ここからは無関係、「念校」と言って一言一句の見直しを雑誌社の社員がやります、
オーケーが出たら、印刷開始、
完成が待ち遠しい、

完成!
上司や、仲間、お世話になった方などに送ってきたやつを献本します、
ラインで報告します、
鼻高々の一日です、これだけのために書いているのかも・・・、

最後に、アドバイスです、
単行本は止めときましょう、
はははは・・・、

ブログ1

「大昔、執筆者に選ばれて書いた原稿、この頃の張り切りようが可愛い」 

ブログ2

上)「ゲストエディター”目で見る・・”は、持ち込み企画」 下)「最初に付ける巻頭言、誰も読んでくれないが必死で書きます」 

ブログ3

「過去に出した9冊、初期の頃のヤツは不出来で恥ずかしい」 

ブログ4

上)「左が執筆要綱、右が見本原稿、必須です」 下)「依頼文に諾をした瞬間が地獄の一丁目」 

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