- 年齢階級別退院患者数
- 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
- 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
- 成人市中肺炎の重症度別患者数等
- 脳梗塞の患者数等
- 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
- その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数
年齢区分 | 0~ | 10~ | 20~ | 30~ | 40~ | 50~ | 60~ | 70~ | 80~ | 90~ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
患者数 | 3 | 53 | 96 | 105 | 283 | 395 | 905 | 1450 | 1088 | 261 |
平成28年度全退院患者数は4,639名で、平均年齢70.6歳となっております。
幅広い年齢層の患者さんをお受けしておりますが、60歳以上の患者さんの割合は80%となっており、地域社会の高齢化が反映しています。年齢層別に傷病名頻度を見てみますと、20歳未満では骨折などの外傷のほか、腸炎や虫垂炎が多く、30代、40代では36%が循環器系疾患、11%が整形疾患、10%が消化器疾患で構成され、50代ともなれば多種多様のなか、がん等の新生物が増え始めます。60代では、腎尿路系疾患が増え、骨折などの外傷も再び増加し始めます。70代では加齢に伴い循環器系疾患がさらに増加し70代を構成する疾患の約40%を占めます。その他、呼吸器系疾患の増加も見られます。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
■内科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) | 平均 在院日数 (全国) | 転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
040081xx99x00x | 誤嚥性肺炎 | 64 | 24.06 | 21.25 | 39.06 | 81.16 | |
110310xx99xx0x | 腎臓または尿路の感染症 | 57 | 17.53 | 12.43 | 12.28 | 79.4 | |
100070xx99x100 | 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全なし。) | 46 | 11.52 | 14.61 | 2.17 | 61.48 | |
180010x0xxx0xx | 敗血症(1歳以上) | 32 | 22.88 | 19.24 | 18.75 | 79.53 | |
0400801499×002 | 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) | 31 | 19.26 | 15.29 | 16.13 | 85.74 |
当院の内科で多数を占めている疾患は肺炎に次いで糖尿病です。
特徴としては、総感染症での死亡率が16%、肺炎に関しては21%です。肺炎に関しては某大学が集計した死亡率である30%を大きく下回っています。当院では、抗生剤選択・適正使用に関して厳格な管理を行っており、最近では抗菌薬のPK/PD論を意識した治療計画も熟成されています。当該菌・抗菌薬のブレークポイント、TAM (Time above MIC)も考慮しながら治療に当たっています。積極的にグラム染色を行うことで起炎菌の同定前に初期治療が適切に行われるケースも多く、通常、起炎菌の同定には3~4日かかりますが、この期間に感受性のある抗生剤が投与されていたかどうかが救命率上昇に大きく影響します。クラミジア肺炎をはじめとする否定形型肺炎の適切な診断がなされ、治療成績も上がっています。また、糖尿病分野では熟練した専門医が牽引し糖尿病診療成績も上がっています。糖尿病には様々な病型があり、治療方法も千差万別です。病型判定、病状評価のための検査もルーチンに行っております。HOMA-インデックス、C-ペプチド-インデックスが採血1時間以内に測定可能であり、外来診療における治療成績の上昇につながっています。診療方針は直近2か月の血糖値の平均を反映するに過ぎないHbA1cの値のみでは決まりません。総合内科的見地から多彩で多様な疾患も担当しています。膠原病類縁疾患、血液疾患、神経疾患、内分泌疾患等様々な疾患に対応しています。
■小児科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) | 平均 在院日数 (全国) | 転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
030270xxxxxxxx | 上気道炎 | 1 | 5 | 4.83 | 0 | 3 | |
0400801199x00x | 肺炎等(1歳以上15歳未満) | 1 | 3 | 5.79 | 0 | 6 |
平成28年度の入院患者様は2名。2名とも呼吸器系の患者様でしたが、随時外来では診療しており、外傷以外は大体対応している。夕方の診察も行っており、救急対応も設備の許す限り対応している。
■外科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) | 平均 在院日数 (全国) | 転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
060020xx99x30x | 胃の悪性腫瘍 | 39 | 6.51 | 6.88 | 2.56 | 67.62 | |
060210xx99000x | ヘルニアの記載のない腸閉塞 | 32 | 9.81 | 9.08 | 0 | 64.41 | |
060035xx01000x | 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 | 18 | 22.72 | 15.92 | 0 | 73.17 | |
060150xx03xxxx | 虫垂炎 | 18 | 5.33 | 5.60 | 0 | 39.06 | |
060040xx99x61x | 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍 | 15 | 10.73 | 8.37 | 0 | 77.13 |
胃の悪性腫瘍(胃癌)に対しての、ガイドラインに則した化学療法(抗がん剤治療)実施による症例数が最多。腸閉塞にてイレウス管による減圧治療症例が2番目に多い。3番目には結腸癌(直腸癌を含む)手術症例および虫垂炎手術症例が同数で占める。このほか、外傷、感染症(蜂巣織炎、胆嚢炎、憩室炎など)、悪性腫瘍疾患(膵臓癌、胆嚢癌、他にも骨転移、肺転移などの転移性悪性腫瘍)、各種ヘルニアなども入院加療の対応を実施しています。
■整形外科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) | 平均 在院日数 (全国) | 転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
160800xx01xxxx | 股関節大腿近位骨折 | 92 | 35.09 | 27.63 | 45.65 | 80.97 | |
160690xx99xx0x | 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) | 63 | 26.49 | 20.57 | 25.4 | 78.65 | |
160980xx99x0xx | 骨盤損傷 | 19 | 21.74 | 20.45 | 42.11 | 74.53 | |
160760xx97xx0x | 前腕の骨折 | 18 | 10.67 | 5.49 | 5.56 | 65.11 | |
160700xx97xx0x | 鎖骨骨折、肩甲骨骨折 | 13 | 5 | 5.86 | 0 | 47.23 |
当科では比較的高齢者の方の骨折が多く、股関節周囲の骨折に関しては、手術を施行して早期リハビリテーションを行うよう尽力しております。それ以外にも様々な外傷に対しても対応しております。
■脳神経センター
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) | 平均 在院日数 (全国) | 転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
010230xx99x00x | てんかん | 33 | 10.64 | 7.12 | 18.18 | 51.85 | |
160100xx99x00x | 頭蓋・頭蓋内損傷 | 30 | 9.2 | 7.52 | 16.67 | 60.53 | |
010050xx02x00x | 非外傷性硬膜下血腫 | 27 | 11.93 | 11.83 | 11.11 | 78.07 | |
160870xx01x00x | 頸椎頸髄損傷 | 23 | 28.35 | 32.30 | 65.22 | 69.22 | |
010060×2990401 | 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) | 21 | 12.48 | 16.54 | 9.52 | 71.29 |
平成28年度は750人とピーク時の8割程度となっている。入院患者に占める脳血管障害の割合は、367人/750人(48.9%)と半数を切っていました。しかし、脳血管障害のうち脳卒中の占める割合は、304人/367人(82.8%)と依然高く、脳卒中診療が当科の中心であることは変わりありません。脳卒中患者の内訳は、図2に示すとおり、脳梗塞の割合が61.5%と約2/3を占め、昨年より増加しました。一方、出血性疾患の割合は30.3%(脳出血23.4%、くも膜下出血6.9%)と昨年より更に減少し(42.8%→34.8%→30.3%)、当院でも虚血性脳血管障害の増加が顕著に認められます。更に、TIAと診断されたものも6.2%→8.2%と増加しました。その他、頭部外傷(15.5%)、脊椎・脊髄疾患(11.2%)、てんかん患者(9.3%)が昨年同様多く見られ、脳腫瘍は7.4%と同程度でした。入院患者の疾患カテゴリーはおおむね定着してきた感があります。
■心臓血管外科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) | 平均 在院日数 (全国) | 転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
050163xx03x0xx | 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 | 29 | 12.86 | 12.74 | 3.45 | 74.76 | |
050161xx97x10x | 解離性大動脈瘤 | 27 | 25.44 | 28.23 | 18.52 | 64.93 | |
050161xx01x0xx | 解離性大動脈瘤 | 24 | 20.92 | 16.53 | 12.5 | 63.25 | |
050161xx9900xx | 解離性大動脈瘤 | 20 | 14.45 | 18.27 | 15 | 70.8 | |
050161xx01x1xx | 解離性大動脈瘤 | 10 | 24.93 | 23.73 | 30 | 62.8 |
当科の疾患内訳は多種に及びますが、最多数となるのは大動脈疾患です。また、大動脈疾患の中でも解離性大動脈瘤はそのほとんどが、緊急手術対応となります。また、術式の選択には大動脈ステントグラフト認定施設でもあるため、内科的治療も可能です。上記以外にも、虚血性心疾患や先天性心疾患、末梢動脈閉塞、不整脈など多種多彩な疾患に対応しています。24時間365日、緊急手術の出来る病院として近隣の救急隊や救急医療機関からの緊急紹介に対応しています。特徴としては、緊急紹介をいただいた医療機関へ医師とチームスタッフ同乗で年間約200件を超えるドクターカー出動を誇っています。豊富な経験がより安心・安全な医療提供を可能にすると考え、地域の皆様に貢献できる心臓血管外科を目指しています
■眼科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) | 平均 在院日数 (全国) | 転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
020230xx97x0xx | 眼瞼下垂 | 3 | 2 | 3.44 | 0 | 77.67 | |
020110xx99xxxx | 白内障、水晶体の疾患 | 2 | 1 | 2.61 | 0 | 73.5 | |
020250xx97xxxx | 結膜の障害 | 1 | 2 | 3.40 | 0 | 85 | |
180060xx97xxxx | その他の新生物 | 1 | 2 | 6.76 | 0 | 61 | |
当科では主に白内障の手術を行っています。入院内容は一泊二日の短期的な入院期間を設定しており、安全面や患者様の負担を考え両眼の同時手術を行わず、片側を二回の入院に分け行っています。
■泌尿器科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) | 平均 在院日数 (全国) | 転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
110070xx0200xx | 膀胱腫瘍 | 70 | 6.8 | 7.44 | 1.43 | 72.59 | |
110200xx02xxxx | 前立腺肥大症等 | 41 | 9.24 | 9.98 | 2.44 | 71.8 | |
11012xxx020x0x | 上部尿路疾患 | 38 | 5.92 | 5.83 | 2.63 | 58.16 | |
110080xx01x0xx | 前立腺の悪性腫瘍 | 22 | 10.82 | 13.39 | 4.55 | 69 | |
110310xx99xx0x | 腎臓または尿路の感染症 | 20 | 12 | 12.43 | 10 | 74.3 |
当科では、上記疾患以外の泌尿器科領域全般の疾患に対して治療を行っています。 特に前立腺癌に対する治療は充実しておりロボット支援手術や放射線治療なども積極的に行っています。手術成績の向上や合併症の回避に努めるように日々努力しています
■婦人科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) | 平均 在院日数 (全国) | 転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
120060xx01xxxx | 子宮の良性腫瘍 | 16 | 7.19 | 10.05 | 0 | 43.06 | |
120070xx02xxxx | 卵巣の良性腫瘍 | 5 | 4 | 6.42 | 0 | 52.2 | |
120090xx97xxxx | 生殖器脱出症 | 4 | 7 | 9.44 | 0 | 72 | |
120060xx02xxxx | 子宮の良性腫瘍 | 3 | 7 | 6.29 | 0 | 52.33 | |
12002xxx97x00x | 子宮頸・体部の悪性腫瘍 | 2 | 6 | 9.40 | 0 | 48.5 |
婦人科の入院はほとんどが手術目的です。婦人科で最も多いのは子宮の良性腫瘍(子宮筋腫)による子宮全摘手術目的の入院、次いで卵巣の良性腫瘍による腹腔鏡手術目的の入院です。いずれも入院期間が4日から1週間程で退院可能です。また、子宮・子宮附属器の炎症性疾患については、緊急入院が多くそのほとんどは手術適応でなく、抗生剤投与等で寛解し退院となります。
■循環器内科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) | 平均 在院日数 (全国) | 転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
050050xx02000x | 狭心症、慢性虚血性心疾患 | 147 | 3.52 | 4.71 | 0.68 | 68.63 | |
050050xx99100x | 狭心症、慢性虚血性心疾患 | 83 | 2.28 | 3.06 | 0 | 69.87 | |
050030xx97000x | 急性心筋梗塞(続発性合併症を含む。)、再発性心筋梗塞 | 46 | 13.83 | 13.02 | 0 | 66.59 | |
050130xx99000x | 心不全 | 36 | 20.53 | 17.95 | 19.44 | 81.67 | |
050050xx99200x | 狭心症、慢性虚血性心疾患 | 17 | 2.18 | 3.22 | 0 | 67.71 |
当科の疾患内訳は多種に及び、上記以外では、急性心筋梗塞、慢性閉塞性動脈硬化症、肺血栓塞栓症など様々です。最多数となるのは地域社会の高齢化が影響している、虚血性心疾患です。当科でも24時間365日、緊急カテーテル治療が出来る病院として近隣の救急隊や救急医療機関からの緊急紹介に対応しています。また、心臓血管外科との連携によりより患者様に適した治療を選択することも可能です。
■総合診療科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) | 平均 在院日数 (全国) | 転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
060040xx99x30x | 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍 | 5 | 4.8 | 7.32 | 0 | 71.2 | |
060130xx99000x | 食道、胃、十二指腸、他腸の炎症(その他良性疾患) | 4 | 9 | 7.44 | 25 | 72 | |
060210xx99000x | ヘルニアの記載のない腸閉塞 | 4 | 8.75 | 9.08 | 0 | 65.5 | |
060350xx99x00x | 急性膵炎 | 4 | 6.5 | 11.84 | 0 | 55 | |
060102xx99xxxx | 穿孔または膿瘍を伴わない憩室性疾患 | 3 | 11 | 7.89 | 0 | 68 |
平成28年9月より開設した当科で総合診療を行います。専門的治療が必要な場合には適切な紹介をします。消化器疾患においては外科と協力して、手術からがん患者の抗がん剤治療、緩和ケアまで行っております。在宅医療にも力を入れており、往診患者も増えつつあります。患者様が安心して受診して頂けますよう、軽症から重症までどのような方でも 十分な治療をさせて頂きます。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
初発 | 再発 | 病期分類 基準(※) | 版数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Stage I | Stage II | Stage III | Stage IV | 不明 | ||||
胃癌 | 13 | 12 | 18 | 23 | 6 | 25 | 1 | 7 |
大腸癌 | 10 | 11 | 18 | 23 | 6 | 41 | 1 | 7 |
乳癌 | 4 | 11 | 2 | 2 | 1 | 30 | 1 | 7 |
肺癌 | 0 | 0 | 1 | 1 | 4 | 1 | 1 | 7 |
肝癌 | 3 | 4 | 1 | 1 | 3 | 1 | 1 | 7 |
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
5大癌と呼ばれる胃癌、大腸癌、乳癌、肺癌、肝癌の患者数を、初発のUICC病期分類別、および再発に分けて集計しています。UICC病期分類とはUICC(国際対がん連合)によって定められた、①原発巣の大きさと進展度、②所属リンパ節への転移状況、③遠隔転移の有無の3つのカテゴリーによって各癌をⅠ期(早期)からⅣ期(末期)の4病期(ステージ)に分類するものです。2016年度の退院患者を集計し、集計対象期間中に複数回入院された患者さんはそれぞれ集計しています。当院では、外科的処置・化学療法・放射線療法を主に施行しています。また、泌尿器科等で膀胱癌、前立腺癌等も診ており、手術支援ロボット(ダヴィンチ)を用いた腹腔鏡手術も行っています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等
患者数 | 平均在院日数 | 平均年齢 | |
---|---|---|---|
軽症 | 31 | 7.74 | 51.52 |
中等症 | 114 | 16.16 | 78.21 |
重症 | 36 | 22.62 | 84.4 |
超重症 | 16 | 18.83 | 82.5 |
不明 | – | – | – |
・定義
市中肺炎とは普段の生活の中でかかる肺炎のことです。
市中肺炎の定義として、DPCデータの入院契機病名および最も医療資源を投入した傷病名が肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎(DPCコード6桁が040080に相当)で、さらにその中でもICD10コードがJ13~J18(肺炎連鎖球菌による肺炎、インフルエンザ球菌による肺炎、その他肺炎)で始まるものとしています。
ICD10コードとはInternational Classification of Diseases and Related Health Problems(疾病および関連保健問題の国際統計分類)の略称で、WHO(世界保健機関)が世界保健機関憲章に基づき作成した、傷病に関する分類です。世界の異なる国における傷病の状況を比較できることを目的とした標準分類で、現在は1990年のWHO総会で改定された、第10回修正版(ICD-10)が採用されています。
成人市中肺炎診療ガイドライン(日本呼吸器学会)による重症度分類を用いて集計しています。この指標では細菌による肺炎を集計しており、ウイルスによる肺炎、食べ物の誤嚥による肺炎、気管支炎などは集計対象外です。
表.肺炎の重症度分類
1.男性70歳以上、女性75歳以上
2.BUN 21mg/dL以上又は脱水あり
3.SpO2 90%以下(PaO2 60Torr以上)
4.意識障害
5.血圧(収縮期) 90mmHg以下
重症度
0 =軽症
1or2=中等症
3 =重症
4or5=超重症
・特徴
当院の特徴として患者数は中等症が最も多く、重症度が上がるごとに長い治療期間を要します。また軽症の患者様が50歳代であるのに比べ、中等症~超重症になると80歳代と高齢の患者様が多くなっています。
脳梗塞のICD10別患者数等
ICD10 | 傷病名 | 発症日から | 患者数 | 平均在院日数 | 平均年齢 | 転院率 |
---|---|---|---|---|---|---|
G45$ | 一過性脳虚血発作及び関連症候群 | 3日以内 | 13 | 8.38 | 70.62 | 7.14 |
その他 | 1 | 12 | 53 | 0 | ||
G46$ | 脳血管疾患における脳の血管(性)症候群 | 3日以内 | 0 | 0 | 0 | 0 |
その他 | 0 | 0 | 0 | 0 | ||
I63$ | 脳梗塞 | 3日以内 | 169 | 25.1 | 74.79 | 42.62 |
その他 | 14 | 20.07 | 70.07 | 28.57 | ||
I65$ | 脳実質外動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの | 3日以内 | 19 | 12.47 | 74.95 | 5.26 |
その他 | 26 | 15 | 70.27 | 3.84 | ||
I66$ | 脳動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの | 3日以内 | 3 | 4 | 55.67 | 0 |
その他 | 4 | 10 | 68.5 | 0 | ||
I675 | もやもや病<ウイリス動脈輪閉塞症> | 3日以内 | 0 | 0 | 0 | 0 |
その他 | 0 | 0 | 0 | 0 | ||
I679 | 脳血管疾患,詳細不明 | 3日以内 | 0 | 0 | 0 | 0 |
その他 | 0 | 0 | 0 | 0 |
発症3日目以内の急性期脳梗塞の患者様が多く占めています。当院ではそういった緊急性のある疾患に迅速に対応できるよう、24時間365日患者様を受け入れ、常時CT・MRI・超音波検査などができる万全の体制を敷いています。また、発症後3時間から6時間の超急性期脳梗塞には、t-PAという血栓を強力に溶かす薬を点滴投与する治療を優先して実施し、適応する場合には脳血管内治療(局所血栓溶解療法や血栓回収術)を行っています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
■外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 | 平均 術後日数 | 転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K6335 | 鼠径ヘルニア根治[1側] | 40 | 1.38 | 3.4 | 0 | 66.65 | |
K7193 | 結腸切除術(全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術)<亜全切除と所属リンパ節切除> | 23 | 6.87 | 22.57 | 8.7 | 72.04 | |
K6113 | 抗悪性腫瘍剤動脈内持続注入用埋込型カテーテル設置(頭頸部その他)<その他> | 22 | 12.77 | 23.36 | 4.55 | 71.09 | |
K7181 | 虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) | 17 | 0.58 | 3.82 | 0 | 38.88 | |
K6532 | 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層)〈胃〉 | 11 | 0.27 | 8.09 | 0 | 73.45 |
手術症例では、鼠径ヘルニアが最多、次に結腸癌(直腸癌を含む)手術、3番目に化学療法や栄養療法のための中心静脈ポート造設の実施。上記以外にも当院では、胃手術(癌、潰瘍など)、胆嚢手術、乳癌手術等を実施しております。
■整形外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 | 平均 術後日数 | 転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K0461 | 骨折観血的手術(大腿) | 74 | 4.14 | 30.19 | 43.24 | 80.15 | |
K0462 | 骨折観血的手術(前腕)<内固定を行なう> | 39 | 3.31 | 16.69 | 10.26 | 62.13 | |
K0811 | 人工骨頭挿入術(股) | 21 | 5.48 | 27.86 | 42.86 | 79.76 | |
K0463 | 骨折観血的手術(鎖骨)〈内固定を行なう〉 | 14 | 2.07 | 11.57 | 0 | 52 | |
K0484 | 骨内異物(挿入物を含む)除去術(鎖骨) | 11 | 1 | 2.27 | 0 | 47.73 |
単純骨折に対しては、骨接合術を行い、複雑な骨折(粉砕骨折、開放骨折)に対しては、人工骨や、創外固定を用いて、二期的に手術を行う為、より安全な医療の提供を行っています。他にも、靱帯、腱の断裂創傷等にも対応しています。手術後のケア、リハビリの充実により、合併症を起こすことなく退院でき、長期的なリハビリが必要な方に対しては、整形外科専門の相談員と共にリハビリ病院への転医をサポートさせて頂いております。
■脳神経センター
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 | 平均 術後日数 | 転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K164-2 | 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 | 29 | 0.69 | 13.21 | 17.24 | 78.48 | |
K1422 | 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(後方又は後側方固定) | 21 | 3 | 24.29 | 52.38 | 69.95 | |
K1421 | 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(前方椎体固定) | 18 | 3.72 | 24.17 | 27.78 | 63.06 | |
K1643 | 頭蓋内血腫除去術(開頭)(脳内) | 18 | 0.72 | 38.5 | 83.33 | 66.56 | |
K1771 | 脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所) | 18 | 2.61 | 30.83 | 33.33 | 62.22 |
H28年度は274例でした。手術の内訳ですが、脳血管障害が88例(32.1%)、次いで脊椎・脊髄疾患65例(23.7%)、頭部外傷46例(16.8%)の手術と続きます。脊椎・脊髄疾患は、割合は増加しましたが、症例数は減少(74→65例)しています。しかしながら、脊椎外傷に関しては、依然として地域の拠点としてますます重要性が増していると思われます。表1に、血管内手術、放射線治療を含めた脳神経センター手術の内訳を示しました。クリッピング術は20例で一昨年の16例よりはやや増加しました(未破裂11例、破裂9例)。血行再建術は頚動脈内膜剥離術24→13例、STA-MCA吻合術31→4例と一昨年と比べて著減しており、CEA→CAS、STA-MCA吻合術→頭蓋内ステントなど血管内治療への移行が見られました。図5に頚部内頚動脈狭窄症に対する治療の変遷を示しました。昨年度CASの占める割合がCEAを上回っていることがわかりますが、今後は一定の比率に落ち着くと考えられます。
■心臓血管外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 | 平均 術後日数 | 転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K5611 | ステントグラフト内挿術(胸部大動脈) | 37 | 4.78 | 14.22 | 13.51 | 69.81 | |
K5603ニ | 大動脈瘤切除術(上行・弓部同時)(その他) | 29 | 1.07 | 25.83 | 31.03 | 63.21 | |
K5612 | ステントグラフト内挿術(腹部大動脈) | 17 | 6 | 9.47 | 11.76 | 74.71 | |
K5602 | 大動脈瘤切除術(弓部) | 15 | 3.47 | 30.2 | 20 | 71.47 | |
K552-22 | 冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺不使用)(2吻合以上)〈3〉 | 13 | 7.92 | 21.46 | 30.77 | 71.92 |
当科の特徴は緊急性の高い大動脈疾患が多いというところです。とは言え、ステントグラフトの実施施設でもあるため、術式の選択の幅もあり、より患者さんにあった治療法の提案が可能となります。上記以外にも、虚血性心疾患や先天性心疾患、末梢動脈閉塞、不整脈など多種多彩な疾患に対応しています。24時間365日、緊急手術の出来る病院としても近隣の救急隊や救急医療機関からの緊急紹介に対応しています。
■眼科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 | 平均 術後日数 | 転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K2821ロ | 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他) | 120 | 0 | 0.99 | 0 | 76.36 | |
K2193 | 眼瞼下垂症手術(その他) | 3 | 0 | 1 | 0 | 77.67 | |
K224 | 翼状片手術(弁の移植を要する) | 1 | 0 | 1 | 0 | 85 | |
K225-2 | 結膜腫瘍摘出術 | 1 | 0 | 1 | 0 | 61 |
当科では主に白内障の手術を行っています。入院内容は一泊二日の短期的な入院期間を設定しており、安全面や患者様の負担を考え両眼の同時手術を行わず、片側を二回の入院に分け行っています。
■泌尿器科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 | 平均 術後日数 | 転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K8036イ | 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) | 73 | 1.32 | 4.51 | 1.37 | 72.49 | |
K8411 | 経尿道的前立腺手術 | 43 | 4.14 | 6.02 | 2.33 | 72.79 | |
K7811 | 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) | 35 | 1.4 | 3.14 | 2.86 | 58.4 | |
K783-2 | 経尿道的尿管ステント留置術 | 25 | 1.24 | 14.52 | 16 | 68.96 | |
K843-4 | 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いる) | 21 | 1 | 9.1 | 4.76 | 69.19 |
当科の手術は内視鏡を用いた経尿道的手術のため、患者様への負担を少なく、短期間の入院で治療を行います。平成25年7月から導入したロボット支援前立腺全摘術ですがいまのところ大きな合併症なく平成28年は27件を施行しました。症例によっては、勃起神経温存や拡大リンパ節郭清も施行しています。また2016年度の診療報酬改定でロボット支援の腎部分切除術が保険適用されることとなり、今後当院でも同手術を導入していきたいと考えています。引き続き、近くにあって質の高い泌尿器科の医療を提供できる病院を目指しております。
■婦人科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 | 平均 術後日数 | 転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K867 | 子宮頸部円錐切除術 | 11 | 0 | 1 | 0 | 39.18 | |
K877 | 子宮全摘術<腹式> | 10 | 1 | 5.2 | 0 | 48.9 | |
K8721 | 子宮筋腫摘出(核出)術(腹式) | 6 | 0.83 | 4.83 | 0 | 36.5 | |
K8882 | 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡)<卵巣両側部分切除> | 6 | 1 | 2 | 0 | 51.17 | |
K8654 | 子宮脱手術(膣壁形成手術及び子宮全摘術)(膣式、腹式)〈膣式〉 | 3 | 1 | 5 | 0 | 68 |
手術治療では、腹腔鏡手術で可能な限り身体に傷がつかない方法を選択して手術を行います。腹腔鏡手術とは、卵巣腫瘍などのとき、おなかに小さな穴を開けるだけで手術を行う方法です。傷口も小さく、美容上で優れているだけでなく傷が小さいため、痛みも少なく回復も早いという利点もあります。また、子宮筋腫に対して子宮全摘手術、高齢者の方に多い子宮脱の手術も行っておりますが、入院期間も比較的短く、1週間程で退院可能です。
■循環器内科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 | 平均 術後日数 | 転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K5493 | 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) | 122 | 0.91 | 2.07 | 0.82 | 69.3 | |
K5491 | 経皮的冠動脈ステント留置術 | 28 | 0 | 12.93 | 3.57 | 65.96 | |
K5492 | 経皮的冠動脈ステント留置術 | 25 | 0.04 | 13.44 | 8 | 66.88 | |
K616 | 四肢の血管拡張術・血栓除去術 | 14 | 0.29 | 1.29 | 0 | 73.64 | |
K5463 | 経皮的冠動脈形成術(その他) | 9 | 0 | 1 | 0 | 67.67 |
循環器内科では虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症など)に対する経皮的冠動脈ステント留置術や四肢の血管拡張術・血栓除去術等のカテーテル治療の症例が多くなっています。カテーテル治療とは腕や足の血管から狭窄した部位まで管を通して病変を治療する方法です。タイミングとしては①緊急で行う場合や検査と同時に行う場合、②検査から日数を空けて行う場合など、患者様の状況に合わせて様々なタイミングで行われています。また当院では、24時間365日患者様の受け入れを行っており、常時検査やインターベンション治療が施行できる万全の体制を敷いています。
■総合診療科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 | 平均 術後日数 | 転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
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K6152 | 血管塞栓術(腹腔内の血管に対する)<[腹部の動脈]> | 2 | 1 | 5.5 | 0 | 72.5 | |
K672 | 胆嚢摘出術 | 2 | 1 | 17.5 | 0 | 70.5 | |
K6113 | 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) | 1 | 9 | 7 | 0 | 68 | |
K6182 | 中心静脈栄養用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) | 1 | 4 | 6 | 0 | 80 | |
K805 | 膀胱瘻造設術 | 1 | 0 | 2 | 0 | 97 |
手術症例では、開設したばかりで件数は少なくなっておりますが、胆嚢、膵臓、肝臓といった消化器系の手術を実施しております。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
DPC | 傷病名 | 入院契機 | 症例数 | 発生率 |
---|---|---|---|---|
130100 | 播種性血管内凝固症候群 | 同一 | 2 | 0.04 |
異なる | 11 | 0.24 | ||
180010 | 敗血症 | 同一 | 31 | 0.67 |
異なる | 23 | 0.5 | ||
180035 | その他の真菌感染症 | 同一 | 0 | 0 |
異なる | 0 | 0 | ||
180040 | 手術・処置等の合併症 | 同一 | 21 | 0.45 |
異なる | 0 | 0 |
入院の契機の「同一」・「異なる」の区分は入院の契機である疾患(入院のきっかけとなった傷病)と、入院中の主な治療目的の疾患が同一か否かというものです。手術・処置等の合併症には、感染などがあります。手術野処置などは、合併症を起こさないように細心の注意を払い施行しています。しかし、合併症は一定の確率で起こり得るもので、完全に防ぐことはできません。起こり得る合併症については事前に可能な限り患者様に説明したうえで同意をいただき、発症が最小限になるように努めています。
更新履歴
2017.10.03 平成28年度病院情報を更新しました。
2017.09.30 平成28年度病院情報を公開しました。